2011-09-01から1ヶ月間の記事一覧

蟄蟲坏戸

「蟄」は蟲(必ずしも昆虫ではない)が土中に冬ごもりすること、転じて人が家にこもること。「蟄居(ちっきょ)」は「蟄居閉門」、罰としての「押し込め」という意味合いがある。自ら閉じこもる場合は「ひっきょ」と読む(嘘)。「蟄(zhé)」の聲符は「執(…

雷乃收聲

岩田母型製造所の弘道軒清朝四号には、「聲」も「声」もある。「声」は当用漢字表にも略字で載っているから、戦前からあったには違いない。 それにしても「聲」の字がどうも弘道軒らしくないように感じる。手持ちの『東京日日新聞』のコピーから「聲」を探し…

所かわれば

子供の頃、父親の書く「所」という字が不思議だった。あとで思い返せば行書で書いていたにすぎないのだが、この形がずっと頭に残っていた。 ←干禄字書でいえば「俗」とされる形だ。 ところが、康熙字典の御製序で、この形が現れる。御製序では「所」という字…

玄鳥去

「去」の本字は「厺」(U+53BA)。説文には「人相違也。从大𠙴聲。凡去之屬皆从去。丘據切」とあって、下は「厶」ではなく「𠙴」(U+20674)であるらしい。さらに「𠙴」は「𥬔」(U+25B14)と同じであるらしい。すなわち竹製の飯器。 漢和辞典で「去」を「器…

鶺鴒鳴

「鳴」もなかなか難しい漢字である。鳥部にあるが、「口」が聲符でないことは自明なので会意字。説文には「鳥聲也。从鳥从口。武兵切」とあって鳥と口で鳥の声を表す。漢和辞典も概ねこのまま、あるいは鶏の声とする。ところが、『字通』では、これも「クチ…

草露白

「草」という字は不思議な字だ。もともと「艸」でよかったものを、態々同音の音符「早」を加えた俗字ができ、それが通用したわけだ。「艸」は「艸冠」のための意符と化し、「くさ」の意味としては「本字」となった。 「早」についても諸説ある。櫟の実(団栗…

禾乃登

学生の頃までずっと、「のぎへん」は「ノ木偏」だと思っていた。 大辞林にいうように、 【芒】のぎ ①稲・麦などイネ科植物の実の外殻にある針のような毛。のげ。 ②(「禾」と書く)金箔きんぱく・銀箔ぎんぱくの細長く切ったもの。料紙や絵画などの飾りに用…