2011-08-01から1ヶ月間の記事一覧

天地始肅

常用漢字は「粛」。中国簡体字は「肃」。康熙字典は古文として「𦘡䏋𢙻」※を載せる。米に略すのは「淵」の俗字「渊」と同じだが、こちらの俗字は実際には「渕」が多い。 弘道軒清朝の「肅」もちょっと面白い形になっている。※ 【追記】康熙字典では「粛」を…

ツジさんの話

校正者の先輩にツジさんという人がいた。彼は雑誌や書籍より新聞社の仕事が好きだと漏らすことがあったが、その理由を酒の席で聞いたことがある。新聞の仕事はその日1日で終わる。出来上がったものも1日で古新聞になる。そのスピード感がいいと別の先輩が…

綿柎開

「綿」は「棉」。「きわた」。「まわた」は絹綿。 糸偏の下部を「小(しかも下をはねない)」で教わってしまったおかげで、本来の楷書の糸偏を異体字に感じてしまうというのは困った傾向だ。 iPhone、iPadの「くらしのこよみ」が「綿柎開」を「綿析開」に誤…

「之」の弘道軒清朝

昨夜Twitterで〈江守賢治先生に会った時、「之」は4画って聞いた。今時の標準は3画なんだが、篆書を明朝体化した「㞢」は4画。〉と書いた。一応、弘道軒も出しておく。

蒙霧升降

「のぼりおり」する「ショウコウ」は、いまは「昇降」と書かれるが、この「蒙霧升降」のように「升降」も使われ、また場合により「陞降」とも書かれた。阜偏で揃っているのが気持ちよい。 中国簡体字では「昇」「陞」に代えて「升」を用いる。日本では「升」…

寒蟬鳴

寒蟬は蜩(ひぐらし)。かなかなかなと鳴く。 セミは仮名漢字変換では「蝉」しか出なかったりする。JIS X 0208の「互換規準29字」のひとつで、第1-第2水準の文字セットに準拠するフォントでは、字形は蝉でも蟬でもよいことになっている(JIS X 0213では、「…

涼風至

今日は立秋。つまり、これから先の暑さは残暑ということになるが、今日の残暑の厳しさといったら……。 涼風といえば、昨夜東京に戻ったら、雷雨のあとで結構涼しかった。 さて、弘道軒の「涼」。勢いあまって鍋蓋の点が突き出している。 冫の凉は俗字だが、現…

大雨時行

大雨が降るといっても、ゲリラ豪雨は勘弁してほしいものだ。 いろんなフォントで「雨」。楷書系だと中に「水」を書いているように見える。 他は点四つ。稀に横線のものも。これが雨冠だと、横線ばかりになる。 明朝体だと、この四本の横線にウロコをつけるか…