しかられて3

「叱」で思い出すのが府川充男氏が『組版原論』を出したときのこと。
様々なフォントで「叱」を見せ、「デザインの違いと考えたい」としていたのだが、その中にc字形(𠮟=U+20B9F)がなかったので、ツッコミを入れた。
当時はDTPフォントでc字形を出すことは不可能だった。

関連して、「匕」についても書いておこう。部首「匕」(さじのひ)の最初に「𠤎=U+2090E」がある。「化」の古文といわれる字だ。だいたいどうして「化」が「人」部じゃなくて「匕」部にいるんだ!とぼやくことしきり。いやいやそれはともかく、「匕」は平成明朝ができるまで、つまり写研の文字ではずっと「𠤎=U+2090E」だった。拡張新字体を嫌ってすべてをJIS78で組んだりすると、「あいくち」(匕首)が「ばけくび」になってしまうので要注意だった。


(化と匕)
篆書だと違いがはっきりするが、楷書では書き分けは難しい。

ちなみに「叱」abcの篆書は、

「口七」だ。