微妙な新字体

正楷書活字表の切り出しを終了。改めて元ネタを書いておく。
表紙は『正楷書活字標本』、扉は「正楷書活字表」、柱は「正楷書字体表」。
1964年、岩田母型製造所版。小宮山博史氏の注記によれば、
昭和13年1938の昌榮堂活版の見本ズリ(印刷大観中)と同様のもの」
で、末尾に「正楷書新略字」(以下一九一字)として、『当用漢字字体表』の字体に合わせ、昭和30年代に制作されたとおぼしきものが掲載されている。書風は明らかに異なり、別物と考えた方がよい(もっとも本体にしても扉に「長い期間に彫刻された為めに書体や文字の書き方に不同があります此点御諒承下さい」とわざわざ書いているのだが)。
恐らくは同じ岩田母型製造所の弘道軒清朝新字体も同時期に制作されたのであろう。ただし、その記録はない。

ところで、この「新略字」のなかには、元の字体とUCSでは統合されてしまう微妙な字体差を持つものが散見される。


上が新略字。なかなかおもしろい。