「匁」の部首

常用漢字から削除されそうな「匁」だが、謎の多い文字。多くの漢和辞典が国字説をとるなか、最近は漢字説が有力な様子。
国字説は「文とメの合字」で江守賢治『解説字体辞典』はこちら。漢字説は古いものでは『漢字要覧』に「匁ハ錢ノ俗書ノ省文ニテ」とある。
異体字弁』や『宋元以来俗字譜』にも「錢」の異体字とされているというので、国字説に分はないようだ。
そういったわけで、この字がどの部首に入るのかは不明。
諸橋『大漢和』は「丿」部に置いているし、角川『新字源』は「勹」部。UCSでも「勹」にある。しかし、日本の活字見本帳ではほとんどが「夂」部に匁を置いている(一部は「夊」部)。小宮山博史氏の『明朝体活字字形一覧』でも「夂」に載っている。
「丿」ならば「丿+刄」、「勹」ならば「勹+人または乂」、「夂・夊」ならば「攵+メ(略されてノ)」という解字をしていることになる。
「錢ノ俗書ノ省文」なら「戋(「浅」の旁。簡体字は一画少ない)」から崩れていったことになるが、「戈」部に置くのは無理がありそうだ。

左から、文部省活字、正楷書、弘道軒。