水始涸


さすがに「水」などという基本の基本のような字には異体も何もないというところだが、草書の中には結構難しいのもある。


それ以上の謎は漢代にあって、どのようにして「サンズイ」が生まれたかというのが最大の謎だ。
子供の頃、野末陳平の『姓名判断』という新書がベストセラーとなって、家にも一冊あったのだが、「サンズイは水なので四画で数える」というのが理解できなかった。そのくせ仮名の名前は普通に数えているし、しんにょうを「辵」の七画に数えてもいなかったような記憶がある(もしかしたら数えていたかもしれないが)。何にしても、漢字を画数で数値化して計算して運勢を判断することなどできよう筈もない。楷書と篆書ではどうしたって画数が(篆書に画数などないだろうに)同じくなる筈もなく、楷書と明朝体でも矛盾は生じる。サンズイを四画に数えるくらいなら、「桜」は当然「櫻」で数えざるをえない。また「臣」を何画に数えればよいのか。「姫」の旧字「姬」(U+2F862)はなぜか常用漢字表の括弧内に載せられていない。画数の違うものは載せた筈なのだが、この二つは同じ画数ということになっている。

追記:「姫」の旧字は「姬」(U+59EC)でいいのだった。何も互換漢字追加を引かなくても。